《People's Republic of China / 中華人民共和国》

ジャ
撮影場所:チベット自治区ラサ

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ジャとは《バター茶》のこと。煮出した「緑茶」に、バターとミルクと岩塩を加えたもの。味はなんとも例えようがない。お茶というより、薄いスープという感じのもの。バター茶は、バターを入れて攪拌する作り方と、攪拌しない作り方がある、そうーだ。なんとも不思議な味だが、慣れると病みつきになる人もいる(私のオットもその一人)。

バター茶は、チベット族の食生活にはとって、なくてはならぬもの。水分補給はもちろんの事だが、お茶の葉からは、野菜の持つ栄養を補い、消化を助ける役目をもつ。バターやミルクから摂取する、高タンパク質と高脂肪は、高地・乾燥地帯に住むチベット人には必要不可欠のもの。

攪拌タイプの《バター茶》を飲む家庭では、バター茶を作るための攪拌器「ドンモ」(写真左、矢印のもの)はどこの家庭にもある(らしい)。

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バター茶の制作風景
(攪拌しているところ)

チベット自治区ラサ周辺地域でのジャ(バター茶)作り方:

1.雲南省産緑茶を発酵させて、煉瓦状に成型して、かっちかっちに固めた《タン茶》という発酵茶(写真下)を、ナイフなどで削る。

2.削り取ったお茶を、鍋で渋みが出るまで、ぐつぐつ煮出す。

3.ドンモという筒状の攪拌器に、(2)の煮出したお茶に、適量のミルク、好みの量のバターをたっぷり加え、さらに砕いた岩塩を好みの量だけ入れる。

4.3の材料入りドンモに、攪拌弁付きの攪拌棒を差し込み、何回も上下させて攪拌する。

茶とバターの比率と塩加減が「家庭の味」になる。この味加減は、代々受け継がれる秘伝のものになる。バター茶の攪拌作業は重労働だが、基本的には女性の仕事(らしい)。ラサなどの都会の食堂では、ミキサーを使ってバター茶をつくることも多い。これは美味しくはない。

また地域によって、攪拌器に入れるものが異なる。例えば、四川省と隣接する地域では、大麦(チンコー)の粉等を入れる。

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バター茶用のお茶の葉《タン茶》
雲南省産の緑茶

バター茶を小椀にそそぐ。するとバター茶の表面に「バター膜」が張る。このバター膜を、口で向こう側に吹き寄せて何杯も何杯も飲む。すると、向こう側に吹き寄せたバター膜は、だんだん層になっていく。最後にこの「バター膜の層」を食べて、飲み終える。

寺や一般の家でいただくと、際限なく注がれ続けられる(わんこ蕎麦状態)。椀のバター茶を一口でも飲むと、継ぎ足される。これは、チベット族の礼儀。「もういらなーい」の合図は、完全に飲み残して、バター膜を食べてしまう、こと。

バター茶は、一般家庭向けに《市販》もされていて、1魔法瓶(ポット)あたり6−8元くらい。

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チベット族にとって「お茶」は必需品

チベット族の家庭では、とにかくお茶をよく飲む。チベットのアムド地方では、ミルク茶(塩入のミルク紅茶)がのまれる。ミルク茶は、お茶の葉にミルクと塩を入れて攪拌したもの。少量のバターを加えると美味しい。

チベット高原東部に住むカム族は、《チャタン》を飲む。カム族は「黒茶」を使う。一般的には塩を入れるだけ。ごく少量のバターを加えると、結構美味しい。味は、ほうじ茶に塩を入れた感じ。

青海省のチベット族は、砂糖入りの緑茶(ミルクやバター抜き)を好む。チベット自治州や、四川省のチベット文化圏に住む回族は、三宝茶(龍眼の乾燥実+氷砂糖を入れた緑茶)を好む。

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乳の聖性

仏教では、仏陀が悟りを開いた時にスジャータの乳粥で体力を回復したことから、乳は聖性された。仏教と深く関わりを持つヒンドゥ教では、雌牛を《豊饒と母性の徴》として、牛の乳、ヨーグルト(ダヒ)、乳脂(ギー、バター)、尿、糞は、宗教目的にも使われる。

ヒンドゥ教と深く関わりを持つチベット仏教では、乳脂(バター)は、《バター灯明》として宗教目的にも使われている。